淡々斎歌銘 堀越宗円所持 尾戸焼 茶入 トップ

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尾戸焼の文琳形茶入の箱三面にぎっしりと淡々斎の文字が書かれています。もうこの逸話をご存知の方も少なくなってまいりました。私も師からの聞伝えです。お話の中の茶入と 現実に出会った時は、奇跡としか思えませんでした。さて淡々斎書付ですがまつわる由緒か詳しく説明されています。箱蓋表  尾戸焼 文琳茶入  袋 緞子和巾を用ゆ蓋裏  銘 無我  淡々斎 花押箱側面   昭和4年冬 東京 乗竹氏邸に  於いて  奥許し伝授の砌 連客のうち  八角庵主が 無我の中に  次客の懐中せられし和巾を  取出し 後にてその粗忽を  詫入るため 此茶入を  ものせられ 改て茶会なし  使用の後 被贈たまひければ、  その由緒を誌し  乞われたるまま 如斯記置  後世まで伝えられなん事  願う次第なり     昭和庚午春        淡々斎主 無我の中に    取り出したる古帛紗に   尾戸の茶入を丸く        をさめん昭和4年に乗竹宗渓(号一庵)が淡々斎より皆伝、名誉教授となった際に その乗竹邸に於いて連客であった八角庵主(堀越宗円)が古帛紗を忘れて来たため隣に座る おそらくお供の方の懐から 断りもなくスッと古帛紗を抜き取り使用したためご覧になった淡々斎からご注意を受けた。後日お詫びの 茶会を催し古帛紗でお仕覆を仕立てて尾戸焼の茶入に 着せてお返しした。という。この次第について淡々斎が乞われるままに書付をし、歌を添えて茶入に無我と銘をつけました。翌年昭和5年庚午の春のことです。御自分の粗忽を詫て後世まで伝えて欲しい。堀越宗円さんにも淡々斎にも心を惹きつけられます。堀越宗円 1892〜1978(梅子)さんは松方公爵の娘にして堀越角次郎夫人。益田鈍翁や高橋箒庵とも交流があり錚々たる方々と茶席をともにいたしました。淡々斎のもとで裏千家の師範となり女性として初めて今日庵の老分となった方です。仕覆となった古帛紗は鳳凰と雲の紋様の立派なものです。由緒ある仕覆を守るために私が注文して仕立てたものです。好奇心で古帛紗から仕立てました。茶入はご覧のとおりの美しい文琳です高さ6.5センチ   (7.5センチ)瓶子蓋の上まで径 7センチ口径 2.6センチ

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